光のもとでⅡ
 最初のうちは用件のみのメールだった。
 それから少しして、何度か数学の問題を解くメールのやりとりをしたけれど、それには問題に関することしか書かれてはいなかったし、私もそれ以上のことは書いていない。
 春休みに送られてきたメールには、進級試験の結果、春休みに友達と山に登ったこと。後輩が家の鍵をなくして、弓道部の人みんなで探したことが書かれていた。
 その頃、私は新しい薬の副作用でしばらく返信することはできなかった。
「春休み前から新しい薬を服用し始めて副作用がひどかったでしょう? だから、新学期が始まる頃にようやく返信することができたの。で、この間もらったのが猫の餌付けのメール」
 それに返信したのは尋ねられていた写真部の活動内容や生徒会の活動内容。ほかには、今度弾いてみたいハープの曲のこと。
 どこからどう見ても近況報告。特別なことは何も書かれていない。でも、たぶん今の私たちには必要なことなのだ。
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