光のもとでⅡ
 じゃ、零樹さんたちが用意したのは上物、建物のみか。それも、零樹さんが建築デザインしたとなればそこにかかるコストは省かれるわけで……。
「幸倉の家をつくってくれたのは、御園生のおじいちゃんなのよ」
 リィがにこにこと笑いながら教えてくれた。
「は? 建築したのが御園生のおじいさんってこと?」
「うーん……建築設計したのはお父さん。でも、施工したのはおじいちゃん」
「……つまり、職人気質のおじいちゃんは大工さんって話デスカ?」
「「ピンポーン!」」
 ほうほうほう……それはそれはまた異質な緊張を強いられる気がしてまいりました。
「さ、明日は午前中に移動しなくちゃだから、もう寝よう」
 あんちゃんの言葉におとなしくベッドに横になる。
 すぐに隣ですぅすぅ、とリィの寝息が聞こえてきたけれど、俺はなかなか眠りにつけずにいた。すると、枕元に置いていた携帯がピカピカと光りだす。
< 220 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop