光のもとでⅡ
 俺は胡坐をかくおじいさんの前に正座をして固まっていた。すると、
「父さん、お年賀に贈った酒飲んだ?」
「まだだ。珍しくいい酒を贈ってきたじゃないか。蒼樹も碧さんも好きなんじゃないかと思って来るのを待っていた」
「わぁっ! 嬉しいです」
 日本酒好きな碧さんが即座に反応する。そして、
「その日本酒、唯が手配したものなんです」
 碧さんはにこりと笑みを添えた。大樹さんは一瞬だけ俺に視線を戻し、立ち上がって囲炉裏を離れる。
「母さん、お年賀にいただいた酒はどこにやった?」
「あぁ、それならキッチンに出してありますよ」
 そのまま部屋を出ていくところを見ると、どうやら酒を取りに行ったようだ。
「みみみ、碧さん……俺、心臓が潰れる前にキッチンに退避したいんですが」
「唯ったら緊張しすぎ」
 パシパシ、と前から肩を叩かれたけど、大樹さんと初対面で緊張しない人がいるならお目にかかりたい。
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