光のもとでⅡ
「その先」を考えるだけではなく、現状に満足していられるのはいつまでなのか、と己に問いかけてみたところで明確な期間は提示できなかった。すでに、「その先」を望み始めている自分には、無駄な問いかけだったのかもしれない。
 こんなことを考えている傍らで、翠の無防備は変わらず、それまで以上に俺に近づいてくるから頭を抱えたくなる。
 翠が意識していない動作のひとつひとつに、俺は迷惑なくらい揺さぶられていた。
 
 教室を出て図書棟へ向かう途中、食堂で優太と嵐、漣と海斗を見かけた。そして、テラスでは朝陽が複数の女子と弁当を食べていた。
 二年メンバーはいつも一緒に弁当を食べている印象があったが、どうやら違ったらしい。
 図書室でひとりの時間を堪能していると、集合時間十分前にちらほらとメンバーが集まり始めた。しかし、時間に几帳面な翠と簾条がまだ姿を見せない。
「海斗、翠は?」
「あぁ、今日は桃華と教室で弁当食ってる。別に体調は悪そうじゃなかったけど?」
 海斗が言い終わると同時に電子音が鳴り、自動ドアが開くと翠と簾条の姿があった。
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