光のもとでⅡ
「唯兄は……ホテルへ行ってきたの?」
「まぁね。で、リィはこんなところで何してんの?」
「高崎さんにお仕事の話を聞かせてもらおうと思って。五時で仕事が終わるっていうから、ここで待たせてもらっているの」
「司っちは?」
「あ、えと……本当はツカサの家でお茶をする予定だったのだけど、思い立ったが吉日的なものを感じて、こっちを優先しちゃった」
 ツカサにはあとで改めて謝ろう。
「夕飯までには戻ってくるの?」
「うん。少しお話聞くだけだから、そんなに遅くなることはないと思う」
「了解」

 五時になると高崎さんはカフェラウンジへやってきた。
「お仕事上がりにすみません」
「気にしないで? でも、俺に何を訊きたいのかな?」
 何を、と言われると的確な質問をできる気はしない。
「あの、すみません……。急に思い立って勢いで来てしまったので、要点がまとまっていなくて……」
「そっか。じゃ、適当に話そう」
 高崎さんは、自分がどの時点で進路を決めたのか、そこから話してくれた。
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