光のもとでⅡ
 距離が徐々に縮まり唇が重なる。一度離れて再度口付けられたときには、頬から頭にかけてツカサの手が添えられていた。
 長いキスのあとも、照明はまだ点けられない。私は恥ずかしさをごまかすように、
「ケーキ……食べないと溶けちゃう」
「溶けたら冷蔵庫に入ってるケーキを出せばいい」
 一瞬で策を講じられてしまった。
 再度唇が近づいてきたとき、
「……ケーキ、食べようっ?」
 ツカサはため息をつき、私を優しく抱き寄せた。
「キスはしてもいいんじゃないの?」
 責めの響きを含む言葉に、
「……そうなんだけど……なんか、心臓、壊れそう……」
「キスじゃ心臓は壊れない」
 それと同等のことを過去に秋斗さんや湊先生にも言われた。でも、私の心臓は壊れると思う。今だってひどく鼓動がうるさいのだから。
 胸に手を引き寄せようとしたとき、ワンテンポ早くツカサの手が胸に添えられた。
「つ、ツカサっ!?」
「……すごい鼓動」
「そんなのっ、私の携帯見ればわかるでしょうっっっ!?」
「触れるほうが早い」
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