光のもとでⅡ
 その物言いに唖然としていると、わずかに手がずらされ、
「ツカサっ――」
 胸に添えられたツカサの手を両手で掴み却下する。と、ピンポーン――。
 実に単調な音が響いた。
 空耳ではない。間違いなく、この家のインターホンが鳴ったのだ。
 ツカサは大きなため息をついて席を立ち、照明を点けてから部屋を出ていった。
「……びっくり、した――」
 ツカサが目の前にいたときよりも、バクバクと心臓が駆け足を始める。
 これ、どうしたら治まるんだろう……。
 ツカサが戻ってくるまでにはどうにかしたい。
 私は身を竦めた状態で懸命に深呼吸を繰り返していた。そこへ、玄関で話している声が聞こえてくる。
「上がってもいい?」
 この声……秋斗さん?
「今、来客中」
「それって翠葉ちゃんじゃない?」
「わかっているなら帰ってくれない」
「さて、どうするかな……」
「今からケーキ食べるところなんだけど」
「それ、本当?」
 目の前に秋斗さんがいるわけではないのに、私の心臓はさらに鼓動を速める。
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