光のもとでⅡ
「か、果歩さんっ」
「お? どうした?」
「あのっ――あのっ」
「うん? もうこの際だからなんでも訊いてよ」
「あのっ――果歩さん、初めてのとき、怖かったですかっ?」
「あー……それね。でも、私の初体験って翠葉ちゃんに話すにはあまり相応しくないんだよねぇ……」
「え……?」
 果歩さんは今日一番の苦笑を浮かべた。
「実はさ、友達の話に出てくるラブホに興味があったの。でも、そんなところにひとりじゃ行けないでしょ? で、行ってみたいって話をしたら、楓さんが連れていってくれたの」
「えっ……?」
 今、何を聞いただろうか、と逡巡するも、果歩さんの話はまだ終わってはいなかった。
「するとかしないとか、あまり考えてなかったんだ。でも、男の人はそこまで行ったらするものだと思ってるわけで……。成り行きでしちゃいました。そしたら、その一回で妊娠。とことん軽はずみな行動で、とことん行き当たりバッタリな人生。後悔はしてないけど子どもにはちょっと話せないなぁ……」
< 521 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop