光のもとでⅡ
「はい。あとでコーヒーをお持ちします」
「そのくらいは自分でやりますよ」
「でも……」
「これからバーベキューの準備をなさるのでしょう?」
 キッチンにずらりと並ぶお野菜を指差して言われる。
「はい……」
「真白さんも飲まれますか? よろしければふたり分淹れますが」
「では、お願いします」
 涼さんはダイニングテーブルでコーヒーを淹れ始め、私はコーヒーのいい香りをかぎながらお野菜のカットを楽しんだ。

 四時を回ったところでインターホンが鳴る。そして、私が出る前にハナが玄関へ向かって吼え始めた。
「こら、ハナ吼えないの」
 ハナを抱えて玄関を開けると、
「こんにちは」
 元気よく挨拶をしてくれたのは果歩ちゃんで、小さく会釈したのは浴衣を着た翠葉ちゃんだった。
< 544 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop