光のもとでⅡ
 ベッドの上に転がりここ数日を振り返る。
 あの日、秋斗さんと話して以来、秋斗さんは実におとなしい。
 挨拶と一緒に手が伸びてくることもなければ、ふたりきりになることもない。
 一度、マンション内で鉢合わせたことがあるけれど、秋斗さんは挨拶をかわすとすぐに私から離れた。
 あまりにも私に都合よく動いてくれる秋斗さんに申し訳なさと、若干気持ち悪さも感じている。
「……でも、ツカサとの約束は守れているからいいのかな」
 しかし、この気持ち悪さはどうしたら拭えるのか……。
 そもそも、どうしたら秋斗さんは私のことを諦めてくれるのだろう。
 秋斗さんが私を諦めてくれればこんなまどろっこしいことはしなくてもいいはずなのだ。
「迷惑と言われたら」と言っていたけれど、そんな言葉を口にしなくてはいけないのだろうか。
 うんうん唸っていると、携帯がオルゴール音を奏でだした。
 携帯には「藤宮雅」と表示されている。少し緊張しながら通話ボタンを押すと、
『雅です。今、お時間よろしいかしら?』
「大丈夫です。雅さん、日本に帰国されたんですか?」
『えぇ、さきほどホテルへ着いたところなの』
「おかえりなさい。いつまで日本にいらっしゃるんですか?」
『来週の木曜日までなのだけど、その間にお会いできるかしら?』
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