光のもとでⅡ
「実は、来週の月曜日火曜日が全国模試と課題テストなんです。なので、水曜日以降でしたら大丈夫なのですが、水曜日は授業が八限まである日なので、帰宅するのは五時を回ってしまうんです」
『水曜日は……私も六時までは予定が入っているから、それ以降なら大丈夫だわ』
「わ、良かったです!」
『会う場所はどうしましょうか。最初は秋斗さんがホテルまで連れてきてくださる予定だったのだけど、それは都合が良くないのでしょう?』
 ものすごく心苦しい。どこからどう考えても私の自己都合なのだから。
「あのっ、雅さんの都合のいいところまでうかがいます」
 雅さんは少し間を置いてから、
『高校生を夕方以降に連れまわすのは良くないわね。私がそちらへ出向くのでもいいかしら? そのマンションなら談話室を借りることもできるし……』
「談話室……ですか?」
『あら、知らない? 別棟のコミュニティタワーの中にはそういったお部屋が用意されているのよ。訪問者を自宅へ通したくない人が利用したり、大勢の来客を招くときにも使われるわ』
「初めて知りました」
『ただし、予約は住人しかできないから、談話室の予約は翠葉さんにお願いしてもいいかしら?』
「はい。明日にでも予約します」
 話は早々にまとまり、「お喋りするのは会ってからにしましょう」という雅さんの言葉に通話を切った。
< 689 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop