光のもとでⅡ
「それにしても……翠葉、今回は赤丸狙っているの?」
 桃華さんに訊かれ、
「いつもそのつもりだったのだけど、なかなか思ったとおりにはいかなくて……。でも、今回は採れそうなの」
「海斗ですら全科目満点を採ったことはなかったのに、翠葉が達成しちゃうのね」
「だって、全科目満点目指さないと海斗くんの上には出られないし、目標としている蒼兄にも追いつけない」
「え……蒼樹さんってそんなに成績良かったの?」
「ん? うん、赤丸だったかは知らないけれど、三年間首位だったって聞いてるよ」
「……まったく恐ろしい兄妹ね」
 桃華さんの言葉に佐野くんが頷いた。
「インターハイで優勝するわ、学業成績文句なしだわ、藤宮先輩並みのハイスペックだよな」
「佐野、一部訂正を求めるわ」
「何が?」
「蒼樹さんは運動も学業も秀でているけれど、容姿にも性格にも秀でたものがあるわ。性格に難がある藤宮司と一緒にしないでちょうだい」
「ぐへ……手厳しいこって」
 そんなふたりの会話を聞きながら笑っていると、
「簾条さんって臆面ないのね? 御園生さんのお兄さんとお付き合いしているのでしょう? そういうこと、言っていて恥ずかしくないの?」
 香月さんが会話に加わった。
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