光のもとでⅡ
 午後の授業が終わり、数学の答案用紙が戻ってきたことにより、海斗くんとの勝敗が決まった。
「勝ったっ!」
「負けたっ!」
 中等部から負け知らずだった海斗くんはこれでもか、というほどに悔しがり、私はその場でジャンプするほどに喜んだ。
 サザナミくんからは、「御園生さん、ぐっじょぶ!」とお言葉をいただく。
 何を隠そう、二年になってからはふたりで海斗くんの上に出ることを互いに誓っていたのだから。
「俺、今回は海斗に三点及ばずだった。次こそは……」
「負けるかよっ! 二位脱落したらマジ締められるっ。次は首位奪還するからなっ」
 海斗くんは言いながら教室を出ていった。
 私は携帯を手に取り少し悩む。
 ツカサに早く知らせたいけれど、電話ではなく直接会って伝えたい。
「……テラスにいたら会えるかな?」
「司先輩?」
 サザナミくんに訊かれてコクリと頷く。
「急いでテラスへ行けば部室棟へ行く途中で捕まえられるんじゃん?」
「じゃ、急がなくちゃ」
 私が急いで椅子を立ち上がろうとしたら、ポン、と頭に手を置かれた。
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