光のもとでⅡ
「暑いけど、気持ちのいい景色だね」
 ツカサも同じように景色を見渡して頷く。
 さっきからこれといった会話はない。
 私は植物を見られるだけでも楽しいけれど、ツカサはどう思っているだろう……。
 少し不安になって「楽しい?」と尋ねると、「つまらなくはない」という返事が返ってきた。
 つまりは楽しくもない、ということだろうか。なら、ツカサが楽しいと思えるデートとはどんなものだろう……。
「ツカサは何が好き? どういうところへ出かけたら楽しい?」
 私の質問に、ツカサは少し驚いた顔をした。
「別につまらないとは言ってないんだけど……」
「でも、楽しくもないのでしょう?」
「知らない知識を得る機会は有意義だと思ってる」
 それは植物において、ということだろうか。
 どうしたことか、ツカサとの会話がなぞなぞに思えてきた。
「ツカサが行きたい場所はどんなところ?」
 気を取り直して訊きなおすと、少しの沈黙のあと「動物園」と小さな声が答えた。その声を拾うように訊き返すと、ツカサは恥ずかしそうに顔を背ける。
「動物が好きなの?」
 ツカサは顔を背けたまま頷いた。
「じゃ、今度は動物園に行こう? 藤倉から近い動物園ってどこかな……」
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