光のもとでⅡ
 司は危なげな運転をすることなく目的地までたどり着いた。
 六時を回った園内はまだ明るく、日差しの名残を残している。日傘を差す真白さんの代わりにハナを抱っこしようとしたら、司に先を越された。
「ハナ、コンクリはまだ暑いから帰りに砂浜を歩こう。砂浜ならハナでも歩ける」
 司は真白さんを振り返り、
「……三十分後に東屋で合流。ふたりで散歩でもしてくれば」
 司はひとり園内を歩き始めた。
「……気を使ってくれたのでしょうか?」
「どうでしょう。十八にもなって両親と公園に来たのが気恥ずかしかっただけかもしれません。……せっかく時間をいただいたのだから、散歩を堪能しましょう」
「……はい」
 真白さんは控えめに腕を絡めてきた。けれども、
「あの、腕を組むのは暑いですか……?」
 上目遣いに見られてクスリと笑みを漏らす。
「それほど暑くないのでおかまいなく」
 すると安心したような表情になり、腕にわずかな重力がかかった。
 その重みに幸せを感じる。
 司もこの重みを手に入れたのだろうか――。
「涼さん……? どうかなさいましたか?」
 小さくため息をついたのをしっかりと見られてしまったようだ。
< 744 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop