光のもとでⅡ
「涼さんは藤宮の性教育をご存知ですか?」
「学校から送られてきた資料程度には……」
「藤宮ではきめ細やかな指導が行われます。ですから、避妊の知識は心得ているでしょう。……あとは本人たちの気持ちの問題、ということで、あまり踏み入ったことは……」
「……そうですね。本人たちも徐々に成長していくのでしょうし」
 そうは思いつつも自分の子どもが男なだけに不安の種は大きいというもの。
 通常、女の子の親御さんのほうが不安や心配を色濃くするものだと思うが、男の子どもを持つ親はそれなりに心配事が生じるのだと知った。
 何にせよ、湊が使っていたマンションの一室を司に与えるのには時期尚早だったことを認めざるを得ないようだ。

 東屋で司と落ち合うと、浜辺へ続く道を通って砂浜へ出る。
 司は一緒に歩くといったふうではなく、ハナを連れて波打ち際へ向かった。
「やはり親と一緒なのは気恥ずかしいみたいですね」
 クスクスと笑う真白さんは上機嫌だった。
「私は嬉しいです。最近は司と一緒に出かけることはほとんどありませんでしたから」
「真白さんがお願いすれば一緒に出かけてくれるかもしれませんよ?」
「そうでしょうか?」
「えぇ。車の免許も取りましたし、ハナの散歩に遠出してみてはいかがですか?」
「それでしたら涼さんも一緒がいいです」
「おや、それは困りましたね……」
「え?」
「私が一緒だと勝率が下がりますよ?」
「勝率だなんて……。あ、それでしたら翠葉ちゃんも誘いましょうか?」
「いいですね。それだったら嫌々了承してもらえるでしょう」
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