光のもとでⅡ
「飛翔は相変わらずだなぁ……翠葉、気にしなくていいよ」
 海斗くんはそう言ってくれたけれど、飛翔くんとのいざこざはいつだって自分に非があるわけで、それがわかっているだけに謝罪せずにはいられなかった。
「あのっ、撮影に時間かけてしまってすみませんでした。それから、会計職のあれこれも、自分のわがまま通してすみませんでした」
「翠葉ちゃん、俺は助かってるよ? 会計の仕事が分担されていたら、俺は今ほど組の練習に取り組めなかったからね」
 優太先輩は本心からそう言ってくれているのかもしれない。でも、飛翔くんは間違いなく不満があるのだ。それならば、やっぱりきちんと話さなくてはいけない。
 貧血で倒れたあの日以来、組のスケジュール調整等で顔を合わせることはあっても飛翔くんとは言葉を交わしていなかった。
「あのっ、私飛翔くんにお話があるので先に失礼しますっ」

 小体育館を走り出て、春庭園の藤棚のところで追いついた。
「飛翔くんっ」
「何……」
 気だるそうに振り向く様が、すでに「不機嫌だ」と言われているよう。
 でも、ここでめげるわけにはいかない。
「あの、撮影に時間がかかってごめんなさい」
「実質的には時間内に終わったから問題ないだろ?」
「うん、でも、迷惑はかけたと思うし、飛翔くんが言うことはもっともだと思ったから」
「なら、次からは考えて行動して」
「はい」
 謝らなくちゃいけないことはもうひとつ。
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