光のもとでⅡ
 私は息を深めに吸い込み、
「会計の仕事のことなんだけどっ――」
 そこまで言うと飛翔くんに遮られた。
「最後までやりきれよ」
「……え?」
「……あのさ、何か勘違いしてるみたいだから言っておくけど、俺は会計職がやりたくて仕事を分担するよう勧めてたわけじゃない」
 え? どういうこと……?
「あんたわかってんの? あんたが運動できないってわかってる時点で、どうしたって紫苑祭当日にかかるウェイトはあんたが一番重いんだよ。それなら、それまでの負担は俺たちが負うべきだと思ってた。なのに、仕事独り占めしてバカなの? あんたバカなの? 絶対バカだろ?」
 あ……えぇと……。これはいったいどうしたことか……。
 まさかそんなふうに思ってくれていたとは、微塵にも思わなかった。
 なんてわかりづらい人なんだろう……。
 でも……私の周りにはもうひとりわかりづらい優しさを持っている人がいる。
 ツカサのときと一緒。わかりづらいけれども、気づくことができると嬉しいと思う。
「何笑ってんの」
「ううん、ごめん、嬉しくて」
 嬉しくて涙が出てきてしまった。
「泣かれるとか、マジやめてほしーんだけど」
「ごめんっ、すぐ泣きやむ」
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