光のもとでⅡ
 そのまま翠を引きずるようにして部室階である三階を通り過ぎ、屋上へ続く階段を上る。
 屋上は出入り禁止となっているため、三階の階段を上がる時点で人影はまったくなくなる。
「ツカサ、手、痛いっ」
 その抗議すら上目遣いだ。
 そんな目で見るな、煽るな。
「やりたくないことをするんだ。何か褒美があっていいと思うんだけど」
 翠は呆けた表情で「ご褒美?」と訊いてくる。俺はその唇を荒っぽく塞いだ。
 何度か角度を変えてキスをして唇を解放すると、翠はきょとんとした顔のあとにクスリと笑った。
「キスで引き受けてくれるのならいくらでもキスして?」
 にこりと笑う様があまりにも余裕そうで、少し悔しかった。だから――。
「……なら追加させてもらう」
「え? 追加?」
 ずっと触れたいと思っていた部位に手を伸ばす。と、制服の上から触れた胸は、確かなる重量と柔らかさを兼ね備えていた。
「ツカサっ――!?」
「キスくらいどうってことないんだろ? それならこのくらい許されると思うけど」
 戸惑いの瞳を感じながらも、出してしまった手を引くことはできなかった。そして翠も、それ以上の抵抗は見せなかった。
 右手に胸の柔らかさを感じながらキスをすると、翠の頬が上気し始める。そんな顔にだって煽られる。ここが学校でなければ押し倒していたかもしれない。
 いつだって余裕がないのは俺のほうで、そんなことにも苛立ちを感じていた。
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