光のもとでⅡ
「わかった。様子を見に行くわ」
「何があった?」
 簾条は気まずそうに唾を飲み込んだ。
「一時間くらい前、翠葉が貧血で倒れたんですって。幸い、怪我もなく大事にはいたってないらしいのだけれど。保健室から戻ってきてからは練習には戻らず帰ったみたい。たぶん、今頃更衣室で着替えてるんじゃないかって。私、様子を見てくるわ」
「頼む」
「ところで、あんたはなんでここに来たの?」
「さっき、外周廊下で翠とすれ違った。様子がおかしかったから簾条に何があったのか確認しに来ただけ」
「おあいにく様、そういうことよ。だから、何があったのがか知りたいならグラウンドへ行って」
 簾条はそれだけ言うと、廊下を駆けていった。

 外へ出ると、グラウンドから引き上げてきた青組とすれ違った。その際、
「姫が副団やるって知ってた?」
「いや、さっき初めて知った」
「だよな? 今まで赤組は小体育館での練習だったから、団長以外は誰がまとめてんのかわからなかったけど、今日の屋外練習でお披露目って感じだったんじゃね?」
「でもさ、練習の途中で倒れてただろ? 大丈夫だったのかな」
「あー……身体弱いって話だしな。でも、保健室から戻ってきたところを見た人間いるし、平気だったんじゃん?」
「そっか。俺さ、姫は絶対チアの衣装のほうがかわいいと思うんだけど」
「そう? 俺は長ラン姿もいけると思うけどな」
 話の内容に舌打ちしたくなる。
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