光のもとでⅡ
 ツカサの判断を待っていると、ツカサはすべてをゼロ点表示に切り替えプログラムに目を通した。
「午前の競技が終わった時点で準備期間の得点を反映させる。各所への通達は翠に任せた」
「はい」
 実行委員と体育委員、それから放送委員に連絡を入れつつツカサが見ていたプログラムに目を通す。と、このタイミングで準備期間の得点を反映する理由がわかった。
 午後には応援合戦や色別対抗リレー、徒競走決勝戦がある。それらは競技種目の中でより大きな得点が発生するため、準備期間中に発生したマイナス点を挽回することが可能なのだ。
 きっと、ツカサはそれを見越してこのタイミングで反映させようと言ったのだろう。
 どうしてかな……。
 こんな些細なことでも何を考えて口にした言葉なのかがわかると嬉しさがこみ上げてくる。
 誰かに話したい気もするけれど、自分だけの秘密にしておきたい気もする。
 そんなことを考えていると、優太先輩に声をかけられた。
「翠葉ちゃん、なんか嬉しそうだね?」
 きっと、そう言われるくらいにはしまりのない顔をしていたのだろう。
「なんかあった?」
「少し、嬉しいことがありました。でも、秘密です」
「えっ、どうして!?」
「だって、私にとっては嬉しいことでも優太先輩にとってはなんてことないことだから」
「……そうなの?」
「はい」
 私は緩む頬を押さえながら答え、各委員会への連絡を済ませた。
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