光のもとでⅡ
観覧席へ戻ると、早々に風間先輩から声をかけられた。
「御園生さんも飛翔もお疲れ」
「いえ、ずっと集計にかかりきりで申し訳ないです」
 私が頭を下げると、同じように飛翔くんも頭を下げる。
「いや、ふたりが会計なのは知ってたし、当日集計で組にいないことも承知の上。それでもふたりを副団長にするのにはメリットがあると思ってる」
 そんな自信満々に言われても困ってしまう。
 飛翔くんはともかく、私に関してはどんなメリットがあるのか全くわからない。できれば、そのメリットなるものを教えていただけると嬉しい。
「御園生さん、思ってることが顔に出すぎ」
 風間先輩は腰を折って笑う。私は罰が悪く苦笑を貼り付けた。
「ほーら、そんな顔しないで。御園生さんは苦手かもしれないけど、応援合戦なんてどこの組も似たり寄ったり。応援合戦自体に変化を出すのは難しいけど、紅一点で御園生さんが入っていれば男子の目は引けるよね」
 それがメリットだと言われても納得はできない。
 二年続けて「姫」に選ばれはした。けれども、自分の容姿がそこまで秀でたものだとは思えないし、男子の目を引ける、と言われても困ってしまう。
 何より、うちのクラスは「姫だから」という理由で私を推したわけではない。
 参加できる競技が著しく少ない私に、少しでも参加できるものを多く、と考えてくれてのこと。
 もし副団長にならなければ、私は衣装製作班かモニュメント製作班に属していただろう。お裁縫が苦手であることを踏まえれば、間違いなくモニュメント製作班になっていたと思う。
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