光のもとでⅡ
「私でよければ撮るよ?」
 飛鳥ちゃんに声をかけると、嬉しそうな表情でカメラを手渡された。
「はい、チーズ!」
 飛鳥ちゃんは海斗くんに肩を抱かれて少し恥ずかしそう。それでも、写真に写るはにかみ笑顔は文句なしに幸せそうな表情だった。
 そういえば、私とツカサが一緒の写真に写るのはいつだって姫と王子の出し物のときだった。それ以外で写真を撮ったことは――あ、湊先生の結婚式と楓先生の結婚式のときに集合写真で一緒に写ったくらい……?
 ツカサがひとりで写っている写真は去年もらった球技大会のものがあるけれど、あいにくピンボケだしカメラ目線でもない。
 唯一のカメラ目線の写真は先日撮ったスチル写真のみかも……?
 そのデータは後日もらえることになっているけれど、その写真を持ち歩く自信はない。
 長ラン姿のツカサが格好よくとも、自分のチア姿は受け入れがたいのだ。
 ツカサひとりで写っている写真も欲しいけれど、一緒に写る自分が普通に笑っている写真があったらもっと嬉しい。
 来年になれば、ツカサは高校を卒業して大学生になる。その翌年には支倉キャンパスへ通うために支倉へと引っ越す予定だ。
 間違いなく今よりも会う頻度が減るだろう。そうなったとき、自分を慰める材料があったらどんなに心強いか。
 写真、撮りたいって言ったら撮らせてくれるかな?
 少し考えて落胆する。
 だめだ。そんな申し出をした暁には交換条件を持ち出され、自分の写真も撮られる羽目になるだろう。
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