光のもとでⅡ
「二年副団長到着です!」
「美乃里さんっ、声大きいっ」
「あら、みんなに知らせているのだから大きくて当然だわ。ね、桃華?」
「そのとおりね。翠葉、いい加減に諦めなさい?」
 美乃里さんと桃華さんは腕を組んで満足そうに笑っている。そんな私たちを見て、
「御園生さん、往生際が悪いわ」
 香月さんの一言に私は撃沈した。

「翠葉ー! 翠葉翠葉翠葉翠葉翠葉ーーーっっっ!!!!」
 これは間違いなく飛鳥ちゃんだろう。
 振り返ると、ショッキングピンクのチア衣装に身を包んだ飛鳥ちゃんが全速力で走ってきたところだった。その手にはコンパクトデジタルカメラを持っている。
「長ラン姿、超かわいいっ! 写真撮ろう! 写真、写真!」
 飛鳥ちゃんの勢いに押されるまま何枚かの写真を撮られた。そこへ海斗くんと佐野くんがやってきて、みんなで写真を撮ることに。
 最後に飛鳥ちゃんが、
「クラス写真撮ろうか?」
 私たちに尋ねたとき、海斗くんがにっこり笑顔で飛鳥ちゃんの前に立った。
「その前に俺とのツーショットは? ん?」
 少し屈んで飛鳥ちゃんの顔を覗き込むと、飛鳥ちゃんは顔を真っ赤にして「撮る」と小さく呟いた。 
 去年の紅葉祭から付き合いだしたふたりだけれど、普段一緒にいるときは取り立てて何かが変わることはなかった。
「彼氏彼女」といった雰囲気を強く感じたことがなかっただけに、今目の前にいるふたりが新鮮に思える。
< 923 / 1,333 >

この作品をシェア

pagetop