光のもとでⅡ
 しばらく集計に集中していると、
『さぁ、どの組が一番でラストバトンを渡すかっ!? 一番でコーナーを回ったのは黒組っ! そのあとを赤組が追いかけるっ! 追いかける追いかける追いかけ――黒組まさかの転倒っ! 赤組、黒組を抜いて一位に躍り出たっ! おおおっ! 黄組速い速い速いっっっ! がっ、黒組のリスタートも早いっ! 抜かれるか踏ん張るかっ!? おおおっ、踏ん張った! 黒組、徐々に黄組を引き離すっ! さすが生徒会長が率いる組っ! 強いですっ!』
 飛鳥ちゃん張りに中継をする嵐子先輩は、椅子に片足を乗せた状態でマイクを握り締めていた。
 曲も佳境を迎えており、すでに走り終わった生徒たちがトラックの内外からそれぞれの組を応援している。
 自分の組と並走する人も出始め、トラックはてんやわんやの大騒ぎ。
 これでは競技の進行を妨害しかねない。
 見るに見かねたツカサがマイクを手に取り、
『走り終わった生徒は直ちにトラックから出るように。守らない組は加点なし、後夜祭参加権剥奪。十、九、八――』
 カウントを取り始めた瞬間、すごい勢いで人が移動を始めた。
 それほどまでして点数が欲しいのか後夜祭参加権剥奪が効果覿面なのか、脱兎のごとく人が散らばる。
 そうこうしていると飛翔くんから通信が入った。
『最終コーナー、一番で入ってきたのは赤組。次が黒。接戦だから順位変わるかも。次が黄色。続いて白、青。桃と紫は周回遅れ』
 手早くそれを書きとめると、桃と紫が目の前を通り過ぎた。その直後、桃華さんと紫苑ちゃんがゴールテープを張りに出て赤組がゴール。
 頭ひとつ遅れてゴールしたのが黒組。三位が黄色。四位だった青組がゴール直前で転倒し、繰り上がって白組。それから数分して桃、紫の順でゴールし一日目の競技がすべて終わった。
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