片恋シリーズ~鎌田公一編~
「もし俺が熱出して休んだら、休んだ分のノート見せてくれるだけでいいからっ」
「それならっ、私が鎌田くんを送ってから帰るっ」
 方向転換には成功したっぽいけど、思わず頭抱えて唸りたくなる。
「御園生、変……」
「え?」
「普通は男が送ってくものじゃない?」
「そうなの? でも、傘、貸してもらうし……」
 御園生は真面目だし律儀だと思う。しかも、筋金入り。超ド級。
「第一、御園生は俺んちと自分の家がどのくらい離れてるか知ってる?」
 御園生はさらっさらの髪の毛を散らしながら、「知らない」の意を伝えるために首を横に振った。
「俺たち小学校が別なわけです。ということは、校門を出てから正反対に向って歩き出すわけで……。俺の家は自転車で二十分。御園生は徒歩で三十分圏内でしょ?」
「うん、十分くらいかな?」
 言ったあとにはっとしたような顔で、押し付けたビニ傘を突っ返された。
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