片恋シリーズ~鎌田公一編~
「だって、自分その子の携帯番号もメールアドレスも知りませんし……」
「かまっちゃん、機会って作るもんじゃない?」
 先輩に言われて唖然とした。
「どうやって、ですか?」
「んー……駅で待ち伏せ、とか?」
「先輩……朝は部活で早いし、帰りも部活で遅い俺にどうやって待ち伏せろと?」
 訊くと、ははっ、と乾いた笑いが返ってきた。
「んじゃさ、部長命令。次の大会が終わったら一週間朝練休んでいいよ。彼女に会えるよう努力してみなよ。で、会ったなら携帯番号なりメールアドレスなりゲットすること。いい?」
「……はい」
 強引といえば強引だ。でも、機会を作ることのできない自分にきっかけをもらえた気がしてありがたく思う。
 機会は作るもの、か……。
 次の大会が終わったら、一歩踏み出してみよう。御園生に近づくための一歩を――。
< 46 / 118 >

この作品をシェア

pagetop