全部、抱きしめて
なのに......。

『ーーごめん由里子、別れてくれ。オレ達結婚出来ない』

その時、ふと浮かんだのは元カレから言われた別れの言葉だった。

大瀬良さんと関係を持ってから、一度も思い出すことのなかったのに。

どうして、こんな時に思い出すの?
好きな人が好きだと想いを伝えてくれたのに。
彼女になりたいと思っていたのに。

いざそんな場面に遭遇したとたん。
過去の経験が邪魔してくるなんて。

「......っ」

あたしは今日何度目か涙を流していた。

「由里子?」

「ごめんなさい......」

「えっ?」

「あたしも大瀬良さんが好きです。でもつき合うことは出来ません。ごめんなさい」
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