全部、抱きしめて
着信は直也。

「もしもし、どうしたの?」

『今ってどこにいる?』

「今は自分の家にいるよ。もつ鍋屋さんから近いから、久しぶりに寄ったんだ」

『じゃあ、今からそっち行くから』

「えっ? 長谷部さんとの飲み会もう終わったの?」

『あー。潤が悪酔いして酔っ払って寝たんだよ。で、たった今、潤の家まで代行で送り届けたから』

「じゃあ来るの待ってるから」

直也との電話を切ると、「やった!」と声に出して言ってしまった。

悪酔いして寝てしまった長谷部さんには感謝しないと。

だって気になっていた事が聞けるわけだし。

これで、堂々巡りで考える必要もない。

あたしは直也が来る前に、コンビニでお酒とつまみになるような物を買いに行く事にした。

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