全部、抱きしめて
トイレを済ませてすぐだった。
女性三人組と遭遇した。
その中にかおりさんがいたんだ。

「ごめん先に行ってて」と、かおりさんが一緒にいた友達にそう言って、友達2人の姿はどんどん遠くなっていく。

何で、あたしとかおりさんがトイレを出てすぐの通路で向かい合わないといけないのよ?

まるで呼び出しくらったみたいだ。

「優勝おめでとう」

「ありがとうございます」

「決勝で戦ったチーム、うちの会社だったんだよ」

かおりさんが苦笑いを浮かべている。

「そうだったんですか」

「直也はあたしの勤め先なんてもう覚えていないだろうけど」

何て返していいか分からず無言になってしまう。

「久し振りに直也に会ったけど、元気そうで良かった。可愛い彼女も出来たみたいだし」

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