はないろ
…あんなことを約束してしまったせいか、授業に身が入らない。

何てことだ。
かろうじて好きな音楽の授業も軽く寝ていたし。
心のどこかでは行きたくないと。
また違う所では早く行きたいと。
どちらかに絞って欲しい。

「此見さん。」

気がつくと澤村くんがわたしの顔を覗き込んでいた。

「え、あ、澤村くん。」
「HR終わったよ?ぼーっとして。」

授業が知らない間に終わっていた。
一つのことが気になると、こんなに時間が経つのが早いのか。
黙々と帰る準備をしていたら、後ろから髪の毛が引っ張られる感覚がした。

ゆっくり振り向くと、澤村くんがふわふわと笑いながら毛先を弄んでいた。

「ごめん、待たせちゃって」
「いーよ。さ、行こ。」

今からどんなところに向かうのか。
そう思いながら二歩後ろをぽてぽてと歩いた。
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