恋はしょうがない。〜初めての夜〜 + Side Story ①&②
それを聞いて、真琴は古庄を見つめて首をかしげた。
「“普通”じゃないことは、恥ずかしいことでも何でもなくて、むしろ誇るべきことです。あなたの家族と知り合えて、私の世界はずいぶん拓けました」
ある意味コンプレックスを抱いていた家族を、そんな風に言ってもらえて、古庄はとても心が軽くなった。
全てを受け入れてくれる真琴がとても愛しくて…。止めどもない想いが溢れてくる。
「……ありがとう」
古庄は気がつくと、真琴の側に膝をつき、真琴を抱きしめていた。
「…あなたのこと、もっといろいろ知りたいんです。あなたの…どんなことでも…」
真琴も古庄の腕の中でそう言いながら、ギュッと古庄を抱きしめ返す。
「…うん」
胸がキュンと震えるのを感じながら、そう思ってくれる真琴がとても可愛くて、かけがえのない大切な宝物を愛おしむように、古庄はいっそう抱きしめる腕に力を込めた。
「だから、ここに来れて、ホントによかったです。…でも…」
「……でも?」
古庄は腕の中にいる真琴に向かって、優しく囁きかける。
「でも、あなたの実家がこんなに遠いとは思ってもみませんでした」
苦く笑いながらの真琴の言葉を聞いて、古庄の中に一つの疑問が浮かび上がった。
「…そういえば、君はどうして俺の家を知ってたんだ?」
そう問われて、真琴は顔を上げて古庄を見上げる。