天使が舞い降りる。
なんで、最後の最後に……
そんなこというの……?
「ほんとうに……涙ってよく泣くのな」
サイがあきれたように、だけど大好きなあの笑顔を浮かべて私の涙をぬぐう。
その指さえも、今まさに消えようとしていて……
なんで?
なんであの日、サイは交通事故に遭わなきゃいけなかったんだろう?
なんで運転手は信号無視なんてしたんだろう?
そんなこと考えても、キリがないことはわかっているけど……
好きになってはいけない人を好きになってしまった。
どんなに想っても、サイは奈々子が好きで、大切な親友の恋人で……
実るはずのない恋……
サイは、もう……消えてしまうのに……