ルージュのキスは恋の始まり
12、同志 ー 玲王side
「あーあ、折角の花束無駄にしちゃったな」

 くしゃくしゃになった花を見て高橋大河が苦笑する。

「お前、一体何考えてるんだ?あんな風に泣かせて良いのか?大事な女だろ?」

 撮影所に着いて、高橋大河と一緒に現れた女性モデルの姿を見た時は驚いた。

 黒く長いストレートの髪。

 化粧を施された綺麗な顔。

 誰かなんて聞く必要はなかった。

 聞かなくたってわかる。

 あそこにいるのは・・・・。

「・・・美優だ」

 高橋大河が俺と目が合うと、意味あり気に微笑する。

 美優を引っ張り出してきたのはお前か。

 そう確信した。

 美優と奴とのキスシーンを目の当たりにした時は、かなり胸がムカついた。
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