ルージュのキスは恋の始まり
「話題性はあった方がいいでしょ?それに、俺は負ける戦はしない主義なんだ」

「同感。お前、役者にしておくのもったいないな。俺の右腕に欲しい」

 俺が真顔で言うと、高橋は心底嫌な顔をした。

「冗談きついよ。それより、今日、美優送ってってくれないかな?こっちの事情はもう知ってるでしょう?龍神さんなら美優は大丈夫だと思うし。俺は今日暴走したから、一度事務所に戻って社長に説明しなきゃいけない。美優も今日は俺の顔は見たくないでしょ」

「自業自得だろうが。でも、俺をそんなに信用して良いのか?」

「悔しいけどね。龍神さんしかいない」

 高橋は自分が身動き取れなくなって、歯がゆくて仕方ないのだろう。

「玲王でいい」

 俺の言葉に高橋が固まる。
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