ルージュのキスは恋の始まり
 美優の手をはがそうとすると、彼女は今度は俺を抱き寄せた。

「行っちゃいや!」

「お前、自分が誰に抱きついてるかちゃんと自覚してるか?」

 美優を潰さないように両手で身体を支えながら、彼女の目をじっと見据える。

「俺は大河とは違う。どうなっても知らないぞ」

「玲王は優しいのにどうして悪く見せようとするの?」

「・・・・」

「怖い人はもっと目がギラギラしてる」

 自分の経験から言っているのだろうが、そこまで安心されても困る。

「お前なあ、男はいつ豹変するかわからないんだよ。お前が素面の時に望むなら一緒に寝てやる」

「もう眠いの。手貸して」

「はあ?何で手?」

 俺が呆気に取られていると、美優は俺の右手を勝手につかんで俺の懐に入り込む。

 そして、そのまま俺の右腕を枕代わりにした。
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