ルージュのキスは恋の始まり
「心中した両親の復讐のためなんじゃないですか?」

「勘繰り過ぎだ」

 俺がそう言うと、急にバタンとドアが開いて男性社員が息急ききりながら飛び込むように入ってきた。

 ああ、織田とかいう企画開発担当の奴か。

「すみません」

 ペコペコ頭を下げながら織田が謝る。

 30分以上の遅刻。

 連絡もなしであり得ない。

 これがこの会社では普通なのか?

 呆れずにはいられない。

 業界3位に転落したのはこう言う甘さも原因の一つじゃないのか?

「打合せはとっくに終わった。橘はもう戻ったぞ」

「・・・・そうですか。すみません」

 新参者の俺は相当なめられてるらしい。

 なんというか社長に対する態度じゃない。
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