ルージュのキスは恋の始まり
 龍神の名前があるとはいえ、たいした経歴もない俺を認めない奴は多い。

「遅れた理由は聞かないが、罰として今日1日そこにある試作品の口紅を塗って過ごせ」

「え?・・・いや社長。それはちょっと・・・・」

 うろたえている社員を見て、俺はフッと笑った。

「冗談だ。だが、次やったら首にする。遅れるなら代理くらい用意しろ」

「・・・・」

 織田が青冷める。

「片岡、本社に戻るぞ」

 会社の立て直しは結構骨が折れそうだ。

 前途多難。

 何か強烈なインパクトが必要だ。

 まずは、秋の新作のCM。

 夏より刺激的でよりミステリアスなものを・・・・。
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