ルージュのキスは恋の始まり
「はは。経済界の重鎮を変人扱いするとは大したものだ。ますますうちの婿に欲しい」

 西園寺がにこやかに笑って、俺に酌をする。

「養子に入る気もありませんし、婚約も結婚もしません」

 段々イライラしてくる。

 この会話、この料亭に来てから3回目だ。

 同じことを何度も言わせるな、このハゲ。

 少しは人の話を聞けよ。

 とぼけやがって。

 政治家って本当にめんどくせー。

「まあ、君も若いだろうが女遊びは程々にな。麗香は嫉妬深いからな」

「・・・・」

 西園寺がニヤニヤしながら俺に耳打ちする。

 俺に酒臭いその顔を近づけるな。

 このハゲが俺の後ろ楯だ?

 ふざけんな!
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