ルージュのキスは恋の始まり
22、すれ違い ー 玲王side
「いやあ、うちの麗香があのCMを見てから玲王君と正式に婚約したいと言ってきてね。君もモテるから心配なんだよ」

「了承した覚えはありませんよ」

 冷ややかに否定するがこのハゲは聞いてない。

 今、俺と一緒にいるこの男は西園寺誠治。

 現職の国会議員で一時期総理大臣に最も近いと言われた男。

 俺にはただのおとぼけのじじいにしか思えない。

 クリーンな政治家で売ってるが、グレーだろ。

 限りなく黒に近いグレー。

 金と権力の政治家。

 国土交通大臣経験者で、スーパーゼネコンとの繋がりも強い。

 最近、黒い噂を聞かなくなったが、静かな時ほど何してるかわからない。

「だが、あの会長の命令ならば逆らえない・・・・」

「あの変人に逆らったところで痛くも痒くもありませんよ」

 じじいが本当に俺とこのハゲの娘との結婚を望んでいるとは思えない。
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