ルージュのキスは恋の始まり
「もう遅いよ」

 フーッっと長い溜め息が出た。

 決めつけて悪いけど百合ちゃんがこれを読むわけがない。

「百合ちゃん、どういうことか説明出来る?」

 百合ちゃんに近づき距離をつめると、彼女の頬に触れた。

 彼女がゴクリと息を呑む。

「あの・・その・・これは私の趣味で」

 ははっと百合ちゃんが作り笑いする。

「そんなわけないでしょ」

 俺がムスッとした顔で突っ込むと、美優が現れた。

「大河、それ私のなの」

「・・・・」

 久しぶりに見た美優は痛々しいくらいに痩せていて、言葉を失った。

「私・・・妊娠したの」

 誰の子?なんて馬鹿な質問はしなかった。

 聞かなくたって相手はわかる。
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