ルージュのキスは恋の始まり
 怖かった。

 結婚間近の親友には言えなかった。

 大河も仕事が忙しくて相談出来なかった。

 恐怖に怯えながらの生活。

 相手は私に声をかけるだけで、他には何もしてこない。

 確証がなければ警察にも届け出られない。

 私は精神的にかなり追い詰められていた。

 夜は睡眠薬がないと不安で眠れない。

 ある日、親友が私の前に現れた。

「親友の彼氏寝取るなんて最低!私の結婚、破談になったのよ!」

 親友が泣き叫びながら私宛の結婚式の招待状を破り捨て、私の頬を躊躇なく平手打ちする。

「・・・・」

 私には最初何の事だかわからなかった。

 でも、彼女の叫んでいた内容で初めて知った。

 親友の婚約者が私が妊娠したからと言って、彼女との結婚を破談にしたことを。

 全部嘘だと言っても親友は信じない。
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