ルージュのキスは恋の始まり
「あなたに彼を紹介するんじゃなかった。自分の方が綺麗だからって、どうして彼を誘惑したのよ。他の男を選べばいいじゃない。どうして・・・・」

 親友が泣き崩れるのを私はただ見てるだけしか出来なかった。

 そんな事があって私はすっかり参ってしまった。

 だけど、それだけでは終わらなかった。

 体調も崩して私は数日会社を休んだ。

 その間は、少なくとも恐怖からは解放された。

 外は危険で、家なら安全。

 そう思い込んでた私はなんて馬鹿だったんだろう。

 ある夜、薬を飲んでぐっすり眠っていた私は誰かが家の中に侵入したのに気づかなかった。
 誰かが私に触れている。

「・・・大河?」

 眠りが浅くなって、身体のいろんな感覚が目覚め出す。

 シトラス系の強い香水の匂いがした。

 誰かに脚を撫で回されている。

 大河はこんなことしない。
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