いつだってそこには君がいた。


もう、結城くんのバカ。
理不尽にも心の中で結城くんに当たって、彼を睨むと目が合ってそらした。
当の本人はなんのことかわかりっこないのだろうけど。


モテる男はそれだけで罪だ。



「あ、そういえば六組にもイケメンいたって聞いたよ」

「うそ、だれ!?」



ふたりの会話に胸が嫌に跳ねて、雪菜ちゃんは「なになに」と食いついた。



「私、六組に友だちがいるんだけどぉ、たしか高橋って格好いい男の子がいるらしくて……」


「ああっ、それ私も聞いたよー!めちゃくちゃイケメンなのに気さくで話しやすいタイプだって言ってた!」



盛り上がるふたりに「ふぅーん、でも私はやっぱり結城くんかなぁ」と雪菜ちゃんが返す。
私はドキドキしながらその話を黙って聞いていた。


こんなにクラスが離れているのにもう噂のまとになっているんだ。
ということは、きっとクラスでも人気者だろうし、他のクラスにだって高橋くんのファンはいるのだろうと容易に想像できる。


高橋くんに彼女ができたらどうしよう……。
すごく不安になってきた。



「優梨ちゃんは?好きな人いないの?」



莉奈ちゃんの問いに「い、いないよ」と言葉を噛みながら返事をする。


とても言えない。
私の好きな人がその六組の高橋くんだって、みんなの反応を考えたら言えっこない。


どうしてだろう?
沙月ちゃんには素直に聞いて欲しいと思えたのに。


高橋くんのこと好きなのかなって勘違いして悩んじゃったりもしていたけれど、それでも友だちの沙月ちゃんには言いたいと思えた。


だけどこの三人には言いたくないとさえ思ってしまう。


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