いつだってそこには君がいた。



聞きたかったことはそれだったのだけれど、実際に聞いてしまったら焦りしかない。


これは大変勝手な思い込みで失礼な話だけど、高橋くんはそういうの考えていないのかと思っていた。


たぶん、こんなことで進路なんか決めちゃいけないんだろうけど、私もみんなと同じ高校に行きたい。


友だちと同じ高校に行きたいからと進路を決めるのは不純な動機だろうか。



***



「日高のレベルならA高校じゃなくてもB高校ぐらい余裕で狙えると思うけどなあ」



昼休み。給食を食べ終えて職員室に行くと担任に高校の資料をいくつか見せてもらった。


みんなが行くと言っているA高校は比較的普遍的な学校で、卒業後に進学と就職する生徒がちょうど半分ぐらいいると説明された。


そして先生が私に勧めてきたのはB高校のいわゆる進学校だった。
大学進学率90パーセントのパンフレットの文字に私は肩を落とした。



「でもB高校勧められるなんて、やっぱり優梨ちゃんは頭いいんだね」


「そんなことないよ」



職員室を出て、廊下を歩く。


今まで友だちがいなくて、勉強しかすることがなかったから。


でも、私、B高校に行きたく、ない。


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