陽だまりをくれたきみが好き。
玲香ちゃんの震える手を握る。
「私は玲香ちゃんに変えてもらった時からなにも変わってない。変わったとしたらそれは玲香ちゃんのおかげだよ?」
「……?」
「私に話しかけてくれて、友だちだって言ってくれて、お化粧もしてくれて、玲香ちゃんのおかげで私の世界は変わったんだよ」
あの時の私は未来に期待なんてしていなかった。
変わらない日常に、期待なんかできなかった。
でも、それは違った。
変わらない日常にただ心の中で文句をつけるだけで、私はなにも努力をせずにいつも誰かのせいにしていた。
私を綺麗に生んでくれなかったお母さんだったり。
いじめをして来た佐々木くんや元クラスメイトの人たちだったり。
あの時、佐々木くんの手を握った過去の自分だったり。
変わろうともせず、
勇気を振り絞ることもせずに、
ただ目の前のことに嘆くだけだった。