ずっと[短編]
2.約束
 「大丈夫か?」

 結婚式の後、拓の声で我に返る。

 あたしは上手く言葉が出せずに頷く。

「綾のこと、何と言っていいか」

 あたしは目を逸らす。

 触れて欲しくないけれど、触れなくてはいけない彼女のこと。

 挙式の前に拓には綾のことを告げた。

 彼の表情が凍りつくのをあたしは気づいた。

 でも自分からは触れなかった。

 彼もどこかで後ろめたい気持ちがあったのだろう。

 彼からやっと昔、二人が付き合っていたことも聞いた。
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