裏腹な彼との恋愛設計図
矢城くんはビールを飲み干すと、長い睫毛を伏せて苦笑を浮かべる。


「古賀さんはたしかに面白がってるフシはありますけど、半分は冗談じゃないから……」

「へ?」


そんなことを呟いた矢城くんは、一瞬何かを考えるように黙り込んだかと思うと、スモークチーズを口に放り込んだ私に突然ばっと向き直った。


「紗羽さん」

「は、はい」

「また今度、一緒に飯食いに行ったりしましょう?」


あ、メシ?

なんだか真剣な表情をするから思わず身構えちゃったけど、食事のことね。


「うん、もちろん! いつもここだから別のとこにしてみる? 珍しく中華とか、皆好きかなぁ」

「そうじゃなくて」


矢城くんの力強い声に、へらっと笑っていた顔が固まってしまう。

彼はくりっとした大きな瞳で、私をまっすぐ見つめる。


「俺と紗羽さん、二人きりで」


──ドキッ。


「食事だけじゃなくて、どこか出掛けませんか?」


ま、まさか、デートのお誘いだった……!?

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