裏腹な彼との恋愛設計図
「ちょっと帰り際に確認したいことがあって聞いてたら、髪に埃が付いてたから取ってあげただけよ」

「あ、あぁホコリ……!」

「やーね紗羽ちゃん。私と隼人くんが今さらどうこうなるわけないじゃない!」


だよね、そうですよね!!

お色気ムンムンの絵梨子さんだから、何してても妖しげに見えちゃうんです、ごめんなさい。

あっはっはと大笑いする絵梨子さんに、一気に身体の力が抜けた。

彼女はそんな私の耳元に寄せた口元を手で隠し、内緒話をするように囁く。


「隼人くんは、紗羽ちゃんが思ってるより、たぶんずっとあなたのことを愛してるから大丈夫よ」

「へ……」

「それに、私はこれからデートだから。安心して」


ぽんっと私の肩を叩き、にこりと美しい笑みを残して、ピンクベージュのコートに身を包んだ彼女は給湯室を出ていく。

時間差で、「えぇっ!?」と叫ぶ私の声が響いた。


「デ、デートって誰と!?」

「んなもん決まってんだろ。古賀さんだ」


シンクに軽く寄り掛かり、呆れ顔で腕組みをした隼人さんの言葉に、再び私の叫び声がこだました。

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