裏腹な彼との恋愛設計図
あぁ、そのためにデートを……。

古賀さん達もただからかってたわけじゃなくて、矢城くんの想いを知ってのことだったんだ。


矢城くんが再び私に向き直り、ぎしりと小さく軋むソファー。

まっすぐ目線を合わせる彼の瞳に、心拍数が上がる。


「もし今、紗羽さんが恋してないなら、俺にチャンスをください」


うぅ、胸が苦しい……!

鈴森紗羽、彼氏いない歴三年。

久々に、しかも突然訪れたアプローチに舞い上がってしまいそう!


でもダメダメ、落ち着かなきゃ。これでも私、もう二十八なんだから!

結婚だって見据えて相手を選ばなきゃいけないんだから、慎重にいかないと。


「……期待しないでね。矢城くんのこと好きになれるかわからないし、矢城くんも私に幻滅するかもしれないよ?」

「それは……デートしてみてってこと、ですか?」

「……うん」


ふっと矢城くんの顔の緊張が解け、みるみる笑みが広がる。

屈託のない笑顔で「やった!」と小さくガッツポーズをする彼に、私は吹き出してしまった。


たかが私とのデートで、こんなに嬉しがってくれるなんて。

このちょっぴりむず痒くてキュンとする感じ、本当に久しぶり。


新たな恋の予感に、私の心は羽根のようにふわふわと浮くのだった。




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